モデル授業例2(さいたま市立向小学校)

We are the world

第6学年(3クラス・115名)
担当教師:浅見紀子先生、望月泰志先生、中田裕樹先生
平成19年度実施

活動のねらい

  1.  国際化・情報化が急速に進む中にあっても、異なる文化を持つ外国の人々と「共に生きる」という資質や能力を身につけることができるように、我が国の文化に対する関心を高め、詳しく調べたいという意欲を育てる。
  2. 外国の人々と交流し、コミュニケーションをとる活動を通して、自分たちと異なる文化や習慣があることを実感し、「共に生きる」ためには、それらを理解し尊重しあうことが大切であることに気づかせる。
  3. 学習の成果を他者に伝えることで、自分らしさに気づき、よりよく生きようとする態度を育てる。

「総合的な学習の時間」の年間計画と「各教科」・「道徳」・「潤いの時間」とのかかわり

4月(2時間)

ガイダンス

5月-7月(13時間)

レッツ ボランティア<ひと>

  • ボランティア活動を通し、様々な人々との交流を図る。
  • 夏休みのボランティア体験に意欲的に取り組む。

各教科とのかかわり

【国語】

  • 相手や目的に応じて書こう

【社会】

  • 徳川家光と江戸幕府

【道徳】

  • 「助け合って生きる」
  • 「僕の草取り体験」
  • 「じいちゃんのすごさ」
  • 「心に残るボランティア活動」

【潤いの時間】

  • 人間関係プログラム(6時間)
  • 「えいごで GO!」 (14時間) 英語に親しみ、興味を持つとともに簡単な英会話を楽しむことができる。

8月-10月(13時間)

日光歴史探訪 <ひと・ふるさと>

  • 修学旅行先である「日光」について必要な資料や情報をコンピュータソフトやインターネット、図書資料などから収集する。
  • 我が国の国土と歴史に対する関心を高める。
  • 「日光」について現地での体験や調査を加えて、自分の学習をまとめる。
  • 友だちに伝えることで表現力・コミュニケーション能力を身につける。

各教科とのかかわり

【国語】

  • 共に考えるために工夫しよう聞き手の心に届くように発表しよう

【潤いの時間】

  • 人間関係プログラム(6時間)

10-12月(13時間)

We are the world <ふるさと・みらい>

  • 室町時代に生まれ、現代の暮らしの中にも生きている文化の中から1つ選んで、体験する。
  • 室町時代からの文化のよさにふれるとともに、現代に生きる文化について意欲的に調べたり体験して、日本文化に誇りと愛情を持てるようにする。
  • 我が国の文化を理解し、外国に人々と互いの文化のよさを認め合うことで、共に生きようとする態度を育てる。

各教科とのかかわり

【社会】

  • 世界の平和と日本の関わり

【道徳】

  • 「人間はすばらしい」

【潤いの時間】

  • 「えいごで GO!」 (14時間) 英語に親しみ、興味を持つとともに簡単な英会話を楽しむことができる。

1月 -2月(13時間)

卒業チャレンジ<みらい>

  • 自分の成長やこれまでの学習を振り返る。
  • 自分の生き方やあり方に見通しをもちながら、研究課題を決めて追求していく。
  • 新たな自分を発見したり、自分に自信を持ち、学んだことを生活の中で寄りよく生かしていこうとする態度を育てる。

各教科とのかかわり

【道徳】

「意見は言うもの、それとも聞くもの」

【潤いの時間】

「えいごでGO!」(10時間)

3月(1時間)

まとめ

指導計画 10-12月

We are the world(13時間)

1 室町文化を振り返り、体験学習の計画を立てよう

  • 世界には様々な国があり、言葉や習慣や文化の違いがある。
  • 自分たちの国の文化はどんな文化なのか。
  • 日本独自の文化にはどんなものがあるのか。

⇒わたしたちも、「茶の湯」「水墨画」「生け花」を体験してみたい!

2-3 室町の文化を体験しよう

茶の湯、水墨画、生け花を選択して体験する。

学年オリエンテーション → 体験学習 → 体験学習のまとめ

  • 体験したことを友だちと交流して広めたい。
  • 他にはどんな文化があるのだろう。
  • 今の文化や習慣のルーツはどこ?

各教科とのかかわり

【社会科】「源頼朝と武士の世の中」

4 今に生きる日本の文化を調べよう

社会科の学習などを発展させて、日本文化について詳しく調べる。

  • 茶の湯など以外に、行事も昔から続いている。
  • 昔から行われている遊びなども多い。

各教科とのかかわり

【社会科】 「徳川家光と江戸幕府」 「伊能忠敬と日本地図」 「明治維新をつくりあげた人々」

5-6 外国の文化について調べよう

  • 日本の文化について少しわかってきた。
  • 今の文化は昔から続いているものもあるけれど、新しく生まれた文化も多い。

⇒外国の人と交流したい

イラン スリランカ ペルーについて理解を深める。

各教科とのかかわり

【道徳】「意見は言うもの それとも聞くもの」

7-12 外国のお客様と交流しよう ◆講師派遣申請

【交流1 11月8日(木) 交流2 11月28日】

交流会の内容を考え、準備をする。

  • 講師の国について調べよう。
  • お互いの文化の紹介タイムを設ける。
  • 外国の人と一緒に文化を体験しよう。
  • 掲示物を展示するコーナーも作ろう。 交流をして、感想をまとめる。

【第1回目授業】

  • 日時:平成19年11月8日(木)
  • 場所:さいたま市立向小学校

(目標)

  1. 外国の人々と交流し、ふれあう中で、外国やその国に対する興味や関心を持つことができる。
  2. 互いの文化のよさを認め合い、外国人の方に自分の考えを伝え、共に活動をして積極的に人に関わることができる。

(当日の内容)

1 導入<15分>

内容

  • 本時のめあてを確認する。  外国の方と共に異文化の体験をしてふれあい、その国の文化や国に暮らす人について考えよう。
  • 外国人講師の紹介をする。

指導ポイント

自主的な活動を意識させるため、司会を 「ひまわり」実行委員に行わせる。

2  講師の自己紹介 国や文化紹介<30分>

内容

外国人児童が事前に希望したイラン、スリランカ、ペルーの3か国に分かれる。

  • いろいろなことば
  • 宗教や民族
  • 習慣の違い
  • 外国人講師について
  • 外国人講師から見た日本についての感想

3 体験<30分>

内容

<イラン> ゲーム・アクセサリーやテーブルクロスなどの紹介

<スリランカ> 民族衣装の試着・ゲーム(イラタクールゲーム)

<ペルー> 民芸品や音楽の紹介・ダンス

4 振り返り<10分>

内容

ノートに感想をまとめる。

指導ポイント

  • 2回目の体験を意識させる。
  • 自分が疑問に思ったことを質問できるよう、児童を個別支援する。

5 まとめ<10分>

指導ポイント

まとめ  次回の交流につながるように、今日の学習を振り返りながら自分の考えをまとめられるようにする。

【第2回目授業】

  • 日 時:平成19年11月28日(水)
  • 場 所:さいたま市立向小学校

(目標)

  1. 外国の人々と交流し、ふれあう中で、外国やその国に対する興味や関心を持つことができる。
  2. 互いの文化のよさを認め合い、外国人の方に自分の考えを伝え、共に活動をして積極的に人に関わることができる。

(当日の内容)

1 導入<15分>

内容

  • 本時のめあてを確認する。  外国の方と共に異文化の体験をしてふれあい、その国の文化や国に暮らす人について考えよう。
  • 外国人講師の紹介・簡単なあいさつをする。

指導ポイント

自主的な活動を意識 させるため、司会を 「ひまわり」実行委員に行わせる。

2 体験 ※第1回目に選択した国について体験をする。

内容

<前半30分>

イラン<オープンスペース>

  • 日本の遊び体験
  • けん玉・こま・お手玉・かるた
  • イランの遊び体験  ビー玉遊び

スリランカ<家庭科室>

  • スリランカカレーの調理 材料・レシピ・調理法などを学ぶ
  • 試食

ペルー<1組教室>

日本文化紹介

  • 歴史
  • 茶道
  • 習字
  • 遊び
  • かるた

<後半30分>

イラン<校庭>

  • 日本の遊び体験 羽子板・たこあげ・竹馬 ※紹介の後、班で活動して文化を感じる。

スリランカ<2組教室>

  • 日本の折り紙体験
  • 心をこめて折った折り紙をまとめる。
  • 歌のプレゼント 「ふるさと」「歌をありがとう」

ペルー<1組教室・オープン スペース>

  • 名所名産発表
  • 武道実演
  • 祭り
  • 料理紹介
  • 日本のリサイクル事業について紹介

指導ポイント

外国人講師と積極的に関わろうとしているか。 ≪表現・コミュニケーション能力≫

3 振り返り<10分>

内容

感想を発表する。<オープンスペース>

指導ポイント

自分が疑問に思ったことを質問できるよう、児童を個別支援する。

4 まとめ<10分>

指導ポイント

今日の学習を振り返って自分の考えをまとめられるようにする。

各教科とのかかわり

【社会科】「日本と関係の深い国々」 「世界の平和と日本の役割」

 13 日本のよさ 外国のよさをみんなに伝えよう

  • 発表会をしよう。
  • 講師にお礼の手紙を書こう。
  • パンフレットや新聞にして公民館に掲示してもらおう。
  • 掲示物を展示するコーナーも作ろう。

児童の感想

児童生徒

 

 

  • 違う国の人でも同じ人間だし、ちゃんとわかりあっていけるということを改めて知った。外国の人でも女子でも男子でも、お年寄りでもみんなが仲良くできる!そうなれば絶対に戦争や差別がなくなると思う。これからは日本はいろいろな国と交流していったほうがいいと思う。もちろん僕も外国の人と交流を深めていきたい。
  • 国によってそれぞれの文化があると思った。日本以外の国の文化がわかって世界は広いと思った。今回の勉強を生かして、外国の方だけでなく障害者やお年寄りなど、たくさんの人と交流しようと思う。
  • みんなの感想を聞いて、1つの地球に住んでいるのに、食べ物や遊びなどが違うことが分かった。日本の遊びや伝統も他の国と違うし、他の国のことも知らないことがたくさんあると思った。知らないことを教えあって人間の和を作れたらいいなと思った。もし日本のことをよくわからない人が日本に来たら、日本のことを教えたい。
  • 外国の人との交流をあまりしたことがないので、日本語が伝わるか、日本についてちゃんと知ってくれるか、たくさんの不安があったけど伝わってよかった。日本との共通点も見つけることができたのでよかった。あらためて世界にはつながりがあることがわかってうれしかった。これからは世界の人とかかわる機会があったら参加したい。

成果と課題

1回目の交流では、国際理解に関し、関心を深めるという意味では成果があったが、積極的なコミュニケーションが図れたとはいえない。コミュニケーション力の育成は、1つの大きな課題である。コミュニケーションを深めるためには小グループにすること(人数を減らす)が1つの方法であるが、ゲストの人数にも限界があり、難しい。

2回目の交流では、外国についての理解を深めると同時に、ゲスト・個人にふれ、思い思いのふれあい方で心を通わすことができた。お互いがお互いのことを知るために伝え合うことが理解につながることに気づいたのは大きな成果である。限られた時間の中で、こうした体験を進めるには限界もある。しかし「人はみな同じ」、「共に生きている」ことを感じ取れ、大変良い機会だと実感した。

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