海外とのテレビ交流を通じて、世界を舞台に活躍できる人を目指そう
第5学年(2クラス・66名)
担当教師:郷堀卓司先生、永倉久代先生
平成18年度実施
協力:JICA(独立行政法人国際協力機構)
活動のねらい
近年、小中学校で行われている総合的な学習の時間などにおける「国際理解」の授業によって、子どもたちはより世界を身近に感じることが出来るようになっています。
さいたま市立常盤北小学校では、これまで、青年海外協力隊のOBやOGによる授業を実施したり、海外で活動している現役の隊員との交流を行うなど、「国際理解」に積極的に取り組んできました。
今回は、JICAのテレビ会議システムを利用することによって、同年代の子どもたちとの交流(交信)を行い、世界とのつながりをより深めてもらうとともに、以後の交流へとつなげるきっかけ作りを目的としています。継続的な交流を通じて、将来世界を舞台に活躍できる人材の育成を目指します。
- 「テレビを通して直接語り合い、文化紹介することによって子どもたちの視野を広げる機会を持つ」
- 「子どもたちの持つ情報を発信する機会ととらえ、異文化理解を深めると共に、地球市民として積極的に発言する姿勢を持つ」
年間活動計画(18時間)
1学期
1 オリエンテーション
今回の取り組み(テレビ交流)について説明する。
2 国際理解導入・JICAへの理解を 深める
埼玉県国際交流協会及びJICA職員による授業
- テレビ交流に向けての動機づけ
- 今回の交流国ベトナムについて
- JICA及び青年海外協力隊について
3 調べ学習
ベトナムの暮らしや制度、習慣などについてインターネットを利用し調べる。
4-5 ベトナムへの理解を深める
地球市民育成事業の利用(ベトナム人講師による授業)
- 気候、食べ物、衣類について
- 子どもたちの様子、学校での生活について
- ベトナム語でのあいさつの練習
- ベトナムの遊び(ダッカウ)体験
6 ふりかえり
これまで行った外部講師による授業で学んだこと、新たな疑問点、ベトナムの子どもたちに紹介したいことなどについて、各児童が「ふりかえりシート」に記入する。
7 テレビ交流に向けて(1)
- 「ふりかえり」の内容について発表しあう。
- 児童の興味関心により、テレビ交流当日の 内容を決定する。
- 企画委員を決定する。
8 テレビ交流に向けて(2)
- 当日の内容を決定し、内容ごとにグループを作る。
- グループごとに、当日の内容について話し合う。
9 テレビ交流に向けて(3)
- グループごとに、当日の発表の準備をする。
10 テレビ交流に向けて(4)
- 国際協力県民プラザの見学
- グループごとに、当日の発表の準備をする。
夏休み
11-12 テレビ交流に向けて(5)
国際協力県民プラザで、グループごとに当日の発表の準備を進める。
13-14 テレビ交流に向けて(6)・リハーサル
当日の進行に沿って、発表の練習をする。
15 テレビ交流当日
「子どもたちのための夏休み世界発見フォーラム」の第1部として、ベトナムチルドレンズパレスの子どもたちとテレビ交流を行いました。
チルドレンズパレスは、JICA青年海外協力隊の隊員が活動している教育施設で、5才から15才までの子どもが、日本語の授業や日本文化の体験などを通じて日本との交流活動を行うなど、様々な課外活動を行っています。
- 日 時:平成18年8月24日(木)10:30-12:00
- 場 所:埼玉教育会館
- 参加者:(日本)埼玉県常盤北小学校児童61名ほか(ベトナム)チルドレンズパレス児童20名、JICA青年海外協力隊の隊員2名
当日の内容
当日の模様はこちら。
1 オープニング(5分)
日本・ベトナム双方の代表(子ども)があいさつをする。
2 学校紹介&クイズ(日本)(15分)
- 学校の色々な部屋(教室、放送室、保健室)の 紹介とクイズ出題。
- 給食に関する紹介とクイズ出題。
- 日本文化(折り紙)に関する紹介とクイズ出題。
3 学校紹介&クイズ(ベトナム)(15分)
チルドレンズパレスの紹介の後、チルドレンズパレスとベトナムに関してのクイズ出題。
4 ダッカウ リフティング競争(15分)
ベトナムの遊びダッカウ(羽蹴り)のリフティング競争を、日本とベトナムの2人1組で4回戦行う。
5 ソーラン節披露(10分)
ソーラン節の説明のあと、日本の子どもたちが踊りを披露。
6 ベトナムの歌披露(5分)
ベトナムの伝統的な歌と踊り「チョンカム」の披露。
7 日本の歌(5分)
「ちいさなせかい」を全員で歌う。
8 クロージング(5分)
日本・ベトナム双方の代表(子ども)が感想を発表する。
9 写真撮影(15分)
日本・ベトナム双方において記念の写真撮影をする。
2学期
16 テレビ交流の反省会
各自が感想文をまとめる。 ソーラン節のビデオをベトナムに送る。
17-18 ベトナムとの 手紙交換
- ベトナムの子どもたちから、写真付きの自己紹介カードが届く。
- 日本の子どもたちが、クリスマスカード&日本紹介カードを送る。
子どもたちの感想
- 学校の代表としてテレビ会議で交流できて楽しかった。またやってみたい。ベトナムの子どもたちは日本語が上手で驚いた。
- ベトナムの人たちと合唱したのが楽しかった。ベトナムは遠い国だけど、テレビを通じて会話すると電話で話しているようで、とても近く感じた。
交流を紹介するコーナー | ベトナムからの手紙を掲示 |
成果と課題
◆常盤北小学校 担当教師より
子どもたちにとって、本やニュースの中だけの世界であったベトナムとの交流は、テレビを通してといえども直接人と関わることの大切さを学ぶ良い機会になったと思います。
子どもたちははじめにベトナム人講師の話を聞き、自分たちの生活との共通性や違いを学びました。この学習は、日本の学校生活の紹介内容を話し合う上での核となるだけでなく、ベトナムの子どもたちの興味を考えながら話し合うという、心の配慮の部分につながる学習となりました。
また、ベトナムの遊びダッカウ競争では、お互いに大きな声で応援し、互いの健闘をたたえあいました。たとえ言葉が通じなくても、真剣に向かい合うことで心の交流ができることを体験から学ぶことができたと思います。
今回のテレビ交流を通して子どもたちは仲間達と協力して学ぶ楽しさや、未知の世界の人々と関わることの喜びを味わってきました。今回の経験を生かし、これからは、一人一人がさらに広い視野に立って、様々な国の人々と関わっていくことを願っています。
◆埼玉県国際交流協会、JICA職員より
今回交流したベトナムについての学習を4月から始めたにもかかわらず、子どもたちはとても熱心に学習に取り組みました。まず埼玉県国際交流協会及びJICA職員による授業を行い、次にベトナム人講師による授業を行ったことで、子どもたちの興味関心を高め、積極的な学習(当日の準備)へとつなげることができました。
緊張しながら迎えたテレビ交流では、ベトナムと日本の文化の交流もでき、さらに「ちいさなせかい」を全員で合唱したことで一体感が生まれ、お互いの関係が深まりました。
この学校では以前から「国際理解」活動に積極的に取り組んでおり、子どもたちの関心も高かっただけに、当日の交流までにもう少し時間をかけてベトナムへの理解を深められればよかったと思います。事後学習では手紙の交換を行ったり、ベトナムの子どもたちがソーラン節を練習するなど親交を深めているので、この取り組みをきっかけとして今後の継続的な学習に期待しています。
テレビ交流をより有意義なものとするためには、学校の協力が重要となります。その点において、今回は理解のある先生方のもとで準備を進めることができ、大成功だったといえるでしょう。