それでは、「国際理解教育」の具体的なねらいについて考えてみましょう。
一口に「国際理解教育」と言っても、対象年齢や今までの取組などによって、様々な「ねらい」や「切り口」が考えられます。ここでは、学習者のステップに合わせた「ねらい」を、いくつかご紹介します。
ステップ1 初めて「国際理解」に取り組む
相互に関わり合う「世界の今」を知ろう
私たちの住む世界は、人・物・文化・情報などが互いに行き来し、補い合い、影響し合って成り立っています。地球上に生きる私たちは、世界の様々な国や人々と無関係には生きられないことを理解します。
【実践例】身の周りの物や文化が、どこの国や地域から来ているかを調べる
世界と日本の関わりを知る。
<児童・生徒の声>今日の夕飯のエビはどこから来たのかな? 外国人講師と交流する
お互いの文化の違いや共通点を知る。
<児童・生徒の声> 外国の子どもたちも、私たちと同じようにゴムとびをしているね。
ステップ2 「国際理解」を深めよう
偏見や差別のない世界を作ろう
世界には様々な民族・文化・宗教・価値観などがありますが、それぞれがかけがえのない尊さを持つ存在であることを理解し、お互いの違いを受け入れます。
【実践例】外国人講師の話を聞いたりビデオや写真を見たりする
国や地域・民族によって、それぞれ独自の文化や宗教・価値観があることを知る。
<児童・生徒の声>私たちと同じ生活ではないけれど、みんな幸せそうに暮らしているね。
「共生の理念」を養おう
私たちは、お互いの存在を理解し、尊重し合って生きていかなければなりません。自分や自国の価値観のみを正しいとし、押しつけることが、争いや戦争の一因となることを理解します。
【実践例】在住外国人や、日本で国際交流・協力活動をしている人たちから話を聞く
国内にも様々な国の人が住んでいることを知り、多様な文化に共感する。
<児童・生徒の声>○○さんのお母さんは中国から来たんだよ。中国の話を聞いてみたいな。
家の近くの公民館で、外国人のための日本語教室をやっているよ。日本で生活するために、みんな頑張って勉強しているんだ。
ステップ3 できることから始めよう
自分にできることを考え、実行しよう
現在、地球上にはどのような問題や課題があり、その解決のために、世界の国々や人々がどのような努力をしているかを学び、自分たちにできることを実行に移します。
【実践例】日本や海外で国際交流・協力活動をしている人たちから話を聞く
自分たちにもできることを考え、実行に移す。
<児童・生徒の声>ノートや鉛筆のない子どもたちに、私たちの文房具を送りたいな。
ボランティア活動を体験したい!
「地球市民」意識を身につけよう
自分の選択や行動が、自分の周りの小さな世界だけでなく、地球全体に影響を及ぼすこともあり得る存在なのだという認識を持ち、責任ある選択と行動をする態度を身につけます。
【実践例】「国際理解教育」に関連して、開発・平和・人権などの問題を学習する
地球的課題を改善するためには、一人ひとりの責任ある行動がいかに重要であるかを理解し実行する。
<児童・生徒の声>クラスでテーマを決めてディスカッション(討論)をしたよ。自分の意見をわかってもらうのって難しいなあ。もっといろいろなことを勉強しなくちゃ。